友人の堀井行政書士が訪ねてきて、新築マンション価格の内訳を教えてほしいと。マンションはもちろん、土地と建物から成り立っています。土地は敷地全体を建物の区分所有者で共有しているので、登記されている土地の共有持分から、所有している土地の面積が計算できます。土地の坪@もしくは㎡@価格を調べ、土地価格を産出し、マンション価格から差し引き、残りを建物価格とみなせばよいのです。残価法と言われています。
このマンションの場合、土地価格と建物価格がほぼイコールでした。5階建てから7階建てぐらいまではこのようになります。11階建てや15階建てなら、およそ土地価格は3分の一から4分の一でしょう。
逆に、建物価格から計算する方法もあります。土地の単価が調べにくい場合は、建築単価のほうが目途を立てやすいからです。平均的な坪@建築費は60万円ぐらい、㎡@18万。この単価を使えば、建物価格が計算できます。ただし、注意しなければいけないのは、登記面積は内法になっていることです。マンションには廊下、エントランスなど共用部分があります。ですから、登記面積に1.2倍から1.3倍してから、単価をかけます。固定資産税の証明書にはこの共用部分の面積を加算した数値がでていますから参考にしてください。
11月1日、京都マンション管理組合懇談会がありました。会場はコスモ御池富小路の会議室。その場で、新景観政策で不適格となったマンション価格が話題になりました。会員の一人が土地価格を一定にして、建物価格がしだいに減価していくグラフを配布されました。縦軸が価格、横軸が時間です。建物価格はいずれゼロになるように表現されています。不適格かそうでないときはどのような傾向になるか予測できないかと問題提起したのです。
さて、不適格マンション価格の減少をどのようにとらえるか。新景観政策実施による不適格マンションの暴落はおきなかったので、因果関係の証明はきわめて困難になっています。京都市を相手に損害賠償の訴訟を起こすにはその被害を証明しなければなりませんから、こうしたアプローチは有効で派ありませんね。ではどう理論武装したらよいのでしょうか。私は再建築不可物件の問題ととらえます。再建不可のマンションはそれが明らかになったときに、価値はかりりなくゼロに近づくでしょう。土地価格も含めて。再建不可のマンションは解体も処分もできない不動産になるのです。この議論をみなさんと深めていきたく考えます。
さきほど、マンション価格計算に共用部分を忘れないでと注意しました。もうひとつ、効用があります。マンション価格にはこの効用がしめる割合が少なくないのです。
例えば、最上階の眺望のよい部屋と、下階の眺望を隣家の屋根がせえぎっている部屋とを比べましょう。最上階の部屋の価格はさきほどの計算方法、つまり土地の持分価格と建物価格の合算では説明がつかないのです。眺望や通風、日照など上階のマンションにだけ生まれる効用が加算されているのです。マンションはとても不思議な不動産なのです。
この効用という視点から考えれば、新景観政策により、11階建てのマンションが5階建てにしか建て直せないとしたら、効用の大部分を失って大きく価値を減少することになるはずです。この場合、価値の減少は、マンションの各住戸の時価を計算して全体価格を算出し、時点ごとにその推移をおいかけていくことになるでしょう。
それでも、再建不可問題が顕在化しない限りは、目に見えて減価していかないものと私は経験則で予測します。人が現にすんでいて、すみつづけることができるマンションの価格は耐用年数の経過と言う緩慢な変化でしか現れないでしょうからです。
それゆえ、新景観政策実施による暴落が起こらなかったともいえます。この点にマンションの確かさ、強さもあります。マンションの未来を見出して、管理と流通の問題に取り組むなかで、不適格マンション問題を解決したく考えます。